カイロプラクティクの安全性

「カイロの治療って怖いですよね」と言われることがあります。首の骨をポキポキされて、もし折れてしまったらどうしようと本気で思っている人も少なくありません。思わず「そんなことあるかー!」と心の中でツッコミを入れてしまいますが、カイロ未経験の人にとったら冗談ごとではありません。たまに、メディアでも整体やカイロなどによる医療事故の特集が行われています。日本でも、数年前に「赤ちゃんの免疫力を高める」という名目で、NPO法人の女性から整体のような施術を受けた男児が死亡したというニュースがありました。厚生労働省は、 しっかりした医療機関で治療を受けましょうと注意喚起しています。

 

では、カイロプラクティックは本当に危険なのでしょうか?

 

答えは「とても安全ですが100%ではない」です。カイロに限らず、どんな治療でも医療事故は起きます。私たち医療従事者は、 リスクを最小限に防ぎ、効果を最大限に引き出すための努力を日々行っています。もし、カイロの治療が患者の健康に逆効果がある場合(禁忌(キンキ)と言います)、カイロプラクターはそのことを患者に説明し、適切な医療機関を紹介します。治療を受ける側も、自分の症状と治療の効果、そしてリスクを天秤にかけて、治療を受けるか否かを決めるべきでしょう。

 

カイロプラクティックの医療事故でよく挙げられるトピックは「椎骨脳底動脈解離」です。物々しい病名ですが、首への外部的圧力により首に走る動脈の内壁が裂けてしまい、裂けた壁の隙間に血液が入り込んで膨らみ、血管を塞ぐとこと言います。最悪の場合、脳梗塞などを引き起こしてしまいます。カイロプラクティックに否定的な人たちは、首の矯正治療がこの動脈解離と脳梗塞の原因になっていると主張しています。

 

では、首の矯正と脳梗塞の関連性を、実際の統計で見てみましょう。2001年に掲載されたカナダの論文では、1988年から1997年の10年間に行われた首の矯正で脳梗塞になる確率は、585万分の1回だそうです。ただし、脳梗塞が起きたケースの中には、高血圧や喫煙者など、それ自体が脳梗塞のリスクを上げる病気を共存症(Comobidity)として患っている患者も多く、首の矯正と脳梗塞を確かに関連づけることができなかったとしています。2008年の研究もこの結果を支持しています。

 

それに対し、2000年のレポートでは、アメリカ国内の病院で、医療事故により4万4000から9万8000の「予防可能な死」が起きたそうです。さらに、毎年150万人もの人たちが、薬による事故に遭っています。カイロプラクティック以外の施術や薬が引き起こす病気の確率は、以下の通りです。

 

  • 背骨の手術による死亡リスク=100万分の1800
  • 頚椎の手術が原因による重大な後遺症及び死亡リスク=100万分の500
  • アスピリンと他の非ステロイド性抗炎症薬の同時摂取による死亡リスク=100万分の153
  • アスピリンのみ摂取した場合の死亡リスク=100万分の25
  • モルヒネなどのオピオイド鎮痛薬による死亡リスク=100万分の53.6

 

痛み止めの薬を飲む方が、カイロの治療より危険ということになります。もちろん、薬や手術に危険が伴うことは当然で、カイロの治療と比べることは難しいかもしれませんが、それでもカイロプラクティックが安全だということに変わりはありません。さらに、カイロプラクティックの首の矯正治療は、それよりも危険である痛み止めの薬より効果的だという研究結果も出ています。

 

しっかりとした教育を受けたカイロプラクターは、治療前の検診で脳梗塞などのリスクを調べ、患者に説明することができます。場合によっては、治療をせずに他の医療機関へ送ることもあります。安全で、そして効果抜群のカイロプラクティックの治療を是非体験してみてください。

 

ご相談はこちらまで。

 

 

References:

 

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